本研究は、在宅療養者で医療処置を必要とする患者へ看護を提供している訪問看護師の看護技術に焦点をあて、医療処置に対応できる訪問看護師に必要な教育・研修内容、研修方法を明らかにすること、さらに、地域での訪問看護ステーションのネットワークを活用した医療処置に対応できる訪問看護師に必要な教育・研修内容、研修方法を明らかにすることを目的とした。 平成22年4月からは、調査表の集計・分析を行い、164名から回答を得られた(有効回答率36.2%)。対象は全て女性、平均年齢44.3±7.7歳、訪問看護経験は6.0±4.7年であった。訪問看護での看護技術の現状は、褥瘡管理法は全員が実施しており研修も受講率も高く、在宅にて褥瘡管理法を実施する機会が多いためと考えられる。自己腹膜潅流法、在宅がん化学療法は、訪問看護での医療処置の実施状況は低く、訪問看護で実施したことのない割合も高かった。研修ニードでは、実施の少ない処置に関しても研修を受講したい割合が高く、自己腹膜潅流法、在宅がん化学療法が病院等の臨床の場でも経験することが少なく、在宅では看護師が直接ケアを展開するのは週数回の限られた時間であり、その限られた時間に1人で処置を提供するという責任があるため研修ニードが高いと考えられる。この調査によって、訪問看護師の看護技術の現状と研修ニードが把握できたことによって、各施設における医療処置を提供する訪問看護師の看護技術に関する教育・研修方法、さらに、地域での訪問看護ステーションのネットワークを活用した医療処置に対応できる訪問看護師に必要な教育・研修内容、研修方法を明らかにするための基礎研究となる。
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