集団健康診査(以下、集団健診)実施場面に保健師が従事することの重要性・価値を実証するための基礎資料及び調査枠組み再検討のため、初年度は文献検討と調査地選定のための情報収集を行った。 文献検討では、国内文献を中心に健診に関する文献26件と、特にその中の健診に関わる保健師活動について論じられている文献11件の検討を行った。その結果、研究方法としては質問紙調査等を行った量的研究の文献が19件、面接等のデータを分析した質的研究は5件であった。また、調査対象とした健診の種類は、乳幼児健診17件、がん検診4件で、調査対象者は母親などの保護者9件、保健師7件であった。研究内容は、健診後のフォローなど健診後の指導・援助に関する文献が8件、健診受診者の満足度に関する文献が6件であった。健診揚面での保健師の指導・援助に関する文献は4件あり、すべて乳幼児健診場面での養育問題の把握方法や、問診での援助ニーズの判断方法に関するものであった。これらより、成人や高齢者の健診に関する文献は少なく、健診実施場面の保健師に関して問診等の一部分の調査はあるが、健診場面全体を調査した文献は見当たらなかった。さらに、地域看護学のテキスト9件から集団健診実施場面に関する記述内容を抽出した。いずれも保健師の役割(業務内容)や援助内容の記述で、健診実施場面全体を通した保健師の具体的な行動の記述はなかった。 また、A県内全市町村のホームページまたは広報紙から、基本健診の実施方法(日程・場所・個別または集団)について情報収集を行った。記載のない市町村を除き、約7割の市町村が行政区や地区毎などの複数箇所で集団健診を実施していた。これらの結果を踏まえ、来年度の調査実施に向けた調査方法・内容の再検討と調査地の選定が必要である。
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