今年度は協力施設を広げ、合計3施設において15名を対象に調査を行った。通所介護施設に通うアルツハイマー病の方を対象に、3ヶ月間、週に2回「寄り道散歩」プログラムを実施したところ、認知症の周辺症状の出現頻度を表すBehave-ADにおいて、自宅での様子を家族にたずねたものが有意に低下した(p<.05)。Behave-ADについて施設職員にたずね、施設での周辺症状の出現頻度を調べたものについては有意ではないものの低下する傾向がみとめられた。これらのことから認知症高齢者本人、そして介護する家族や介護職員に効果を与える可能性があることが示唆された。 プログラム実施における工夫として、前年度はボランティア高齢者に同行してもらったが、今年度は1-2歳の子供を持つ母親にボランティアとして同行してもらった。普段は表情に変化が認められなかった高齢者や、散歩に参加することに消極的であった高齢者が、子供をあやして笑顔をみせたり玄関にいる子供をみて自ら散歩の準備をする場面が認められ、プログラムを実施する際に効果的であることが理解できた。「寄り道散歩」の中に、通常の施設ケアにはない要素をさらに組み込むことによって積極的参加を促すことができると考えられる。 最終年度は2年間組み立ててきたプログラムに、子供や犬を連れたボランティアの参加を企画することで、認知症高齢者の積極的参加を図り、更に対象者を増やして「寄り道散歩」プログラムの効果を実証したい。
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