本年度、本研究では信頼性ある無権通信ネットワーク構築のための適応的データ中継手法の要素技術として、以下の二つの事項について調査を行った。 *非実時間通信を対象としたインタードメイン間無線LANハンドオーバ手法の実装についての詳解、及びその実装を用いた実環境における有効性評価 *全周波数の利用状況が変動するコグニティブ環境における分散チャネル調整手法についての特許出願 まず、昨年度提案したインタードメイン間無線LANハンドオーバ時にTCPなどの非実時間通信を継続するための手法をLinuxベースの実機に実装し、そのプロトタイプシステムの構築を行った。また、その実装を用いてシンプルなトポロジで実験を行い、提案手法が実環境においても信頼性ある無線ネットワークを構築できることを示した。最後に、その成果を3月のIN研究会において発表した。今後、国際会議、ジャーナルヘの投稿を予定している。 次に、昨年度から着目しているコグニティブ無線技術について、昨年提案した、送受信間におけいる分散チャネル調整手法の有効性を幅広いシミュレーション実験を行う事でより詳細に示した。その結果、移動端末による1ホップ通信において、提案手法が「通信速度」、「移動パターン」それぞれの変化に対して柔軟な適応性を保持しているにとから有効性を明らかにした。また、これらの成果は既に国際会議において発表が完了しており、外部発表後にはその成果を2件の特許を出願し、現在審査中となっている。今後は、この研究成果をジャーナルヘ投稿すると共に、1ホップに限定さらないマルチホップ通信を対象とすることで、より信頼性ある無線ネットワーク構築を目指す。具体的には、経路制御や周波数技術に着目して研究を進める予定である。
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