「研究目的」 我々が卵白中に存在を明らかにしたprostaglandin D_2(PGD_2)を合成する酵素であるlipocalin-type prostaglandin D synthase(L-PGDS)が卵アレルギーの発症に関与する可能性について明らかにすることである。 「方法」 卵白L-PGDSを精製および定量するために、L-PGDSのアミノ酸配列より設計したペプチドをマウスに免疫し、鶏L-PGDSに対するモノクローナル抗体を作製した。また、鶏卵中のPGD_2をPinzarら(Proc Natl Acad Sci.2000;443-449.)の方法を参考に、抽出し、さらにSep-Pack C18 cartridgeを用いて粗精製後、Prostaglandin D2 MOX EIAキットで定量した。 「結果および考察」 抗原ペプチドを固相化し、作製したモノクローナル抗体を一次抗体としたELISAの結果、抗原濃度依存的に吸光度の上昇が見られ、抗原ペプチドに対する抗体であることが確認された。卵白を二次元電気泳動し、作製したモノクローナル抗体を用いてウェスタンブロットを行った結果、卵白由来L-PGDSとの反応性が確認されたものの、他のタンパクに対しても反応し、特異性が低かった。現在、抗原ペプチドを変えてモノクローナル抗体の作製を試みており、免疫マウスから得た抗血清を用いた卵白L-PGDSとの反応性がはっきりと確認できている。また、卵白および卵黄中にPGD_2が含まれることが明らかとなった。
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