研究概要 |
我々は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)がAβ42をAβ40へ変換すること(Aβ変換活性)を見出した。また、ACE阻害剤であるカプトプリルをAPPトランスジェニック(Tg2576)マウスに長期投与したところ、Tg2576マウス脳において、Aβ42の沈着が著明に増強されることを判明した(Zou,et al,J Neurosci,27:8628-35,2007)。ACEのもつAβ変換活性をin vivoで明らかにするために、ACEノックアウト(ACEko)およびAPPトランスジェニックマウス(Tg2576)を用いて、ダブルトランスジェニックマウスを作成した。平成20年度は、Tg2576・ACE(+/-)マウスの脳において、Aβ沈着増加の傾向が確認された。しかし、Tg2576・ACE(-/-)マウスは、死亡率が高く、十分な数を得られなかった。マウスの生存率を改善するために、PDGFhAPPマウスとACEkoマウスの交配を開始した。 ACEは、細胞外に2つのメタロプロテアーゼ活性ドメイン(N端側ドメインとC端側ドメイン)を持つことが知られている。我々は、ACEのAβ変換活性ドメイン及びangiotesin I変換活性ドメインを明らかにした。N端側ドメインがAβ変換活性を持ち、C端側ドメインがangiotesin I変換活性を持つことを判明した。さらに、ACE阻害剤が異なるAβ変換阻害活性を持つことを判明し、ACEの糖鎖修飾がAβ変換活性に必要であることを見出した(Zou et al,論文投稿中)。以上の結果から、ACEドメイン特異的な阻害剤の開発が可能であることを示唆した。
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