ソフトウェアに関する業務活動に関する知識の共有および伝達の方法としてソフトウェアパターンを用いることが提案され、既に多くのソフトウェアパターンが提供されているが、ソフトウェアパターンに関する分類、検索、選択、適用といったソフトウェアパターンの各利用場面における支援は十分に提供されていない。申請者は、ソフトウェアパターンの利用支援を目的として、ソフトウェアパターンに対する自動関連分析、自動分類を用いたソフトウェアパターンの利用支援手法を提案した。 まず、ソフトウェアパターンに対する自動関連分析については、実際のセキュリティパターン集合に対して提案済の自動関連分析を適用し、報告した。適用の結果、著者の異なるセキュリティパターン集合に属するパターンについて、有力なパターン間関連の候補を自動的に指摘することができた。提案手法はパターン数の増加にしたがって加速度的に増加するパターン間関連候補について、自動的な絞り込みを行う場合への適用が期待される。 次に、前年度から継続してソフトウェアパターンのみを集約した文書リポジトリを構築した。収集されたパターン文書は自動関連分析手法の入力とすることができる。また、研究としての新規性は低いがパターンに特化した検索エンジンを構築できた。 最後に、文書クラスタリング手法を用いてパターン文書集合の分析と自動分類を行った。クラスタリング手法の検討にあたっては、前年度にて凝集型のクラスタリング手法を用いた際の一部ケースで発生したチェイニングを避けるため、要素間の距離関数としてTF-IDF法による単語重みベクトルの余弦類似度を用いたk平均法を採用した。 これらの提案手法を用いることで、課題に直面したソフトウェア開発者によるソフトウェアパターン選択を支援し、パターンが提供する知識を利用した効率的なソフトウェア開発が期待される。
|