本研究の第1段階では、研究にてメインで使用する映像システムを割り出すために、プロジェクタ、プラズマディスプレイ、液晶ディズプレイ等、現在ある映像システムの特性を検証した。検証を通して、2つの異なる映像を上映するのに一番近い方法として、角度が異なる2つの映像を上映し、偏光メガネを使用することで立体視する3D映像の2プロジェクタ上映方法を応用することを検討、検証することにした。 2つの映像ソースは、リアとフロントとの両方向から上映し、いわば直射光と反射光を、偏光フィルタで遮断や調節することで、通常鑑賞できる1種類の映像と、何らかの方法によって初めで鑑賞できる映像とをコントロールできる方法を検証した。プロジェクターのレンズに偏光フィルタをかける方法、スクリーンの表か裏に偏光フィルタをかける方法、さらにフロントの映像を反射させるためにフィルムを使用したりと、スクリーンの仕様と偏光フィルタの介在の組み合わせを検証し、いくつかのパターンを割り出した。そして、実際に大学内の文化芸術研究センターにて、インスタレーションとしてプロジェクタとスクリーンを組み上げ、プログラムした映像を上映、検証時に割り出したいくつかの効果的なパターンを展示・検証した。 これらを記録・編集し報告書としてまとめたものは、ヨーロッパのメディアアートフェスティバル「Ars Electronica」と、アメリカのCG学会「Siggraph」に応募し、現在採択か否かを返答待ちの所である。また3月には、メディア・アートの大御所ジェフリー・ショウ氏が、オーストラリア、シドニーにて現在推進しているニューサウスウェールズ大学内の「AVIE」というユニークな映像システムのデモンストレーションに参加、同報告書のプレゼンテーションを行い、ショウ氏より、プロジェクトに関するサジェスションを受けた。
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