研究概要 |
本研究では防災を目的としたセンサネットワークを対象として,各センサノード上で実行されるセンサ情報取得・通信などのタスクにCPU時間やメモリなどの計算リソースを割り当てる低消費エネルギーリソーススケジューリングを提案・開発することを目的とする. 昨年度はその第一段階として,センサネットワークシステムを含む,CPUの電圧を動的に変更する機構を持つリアルタイムシステムに対して,QoSアウェアな低消費エネルギーなリソーススケジューリングを提案した.著しく変動する環境下を想定して,QoS特性が正確にわかっていない場合にも消費エネルギーの最大化とQoSの最良化をトレードオフできるリソーススケジューリング手法を提案した. 今年度は第二段階として,実際のワイヤレスネットワークシステムへの提案手法の実装と検証を目標に研究を遂行した.まず,実際に運用されているワイヤレスセンサネットワークシステムについて調査し,低消費電力化にはCPUの動作電圧はあまり影響せず通信頻度に大きく依存するという知見が得られた.そこでセンサノードに対して,センサデータを取得し送受信する頻度に依存する消費電力の変化を観測する実験を行い,センサノードの電力消費モデルを得た.この電力消費モデルに基づき,センサネットワークの電池寿命を予測するシミュレータを実装した.また,実際に防災目的で運用されているワイヤレスセンサネットワークに対して,動的に送受信頻度を変更する場合の可用性を検証する実験を行った.一方,実際のワイヤレスセンサネットワークシステムへの要求に基づいて昨年度の提案手法の拡張を行った.
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