研究概要 |
平成19年度は,柔軟要素による三次元的な可動結合を実現するための基盤技術の確立を目標に,長さセンサによる三次元関節角度計測,アクチュエータ束による関節駆動および関節機構の運動シミュレーションを行った.長さセンサによる三次元関節角度計測では,直動の距離を計測できる長さセンサを関節に複数配置することで,柔軟結合関節の回転角度検出技術を確立した.リンクの回転角度をCCDカメラにより計測し,そのとき計測された値と長さセンサにて計測された値を多項式にてマッピングする手法を用いて角度を計測した.本研究で提案する関節機構は,人間の軟骨に相当する部分に柔軟体を配置しているため,従来のモータ制御で用いられているポテンショメータやエンコーダではリンクの回転角度を計測することができないが,この技術の開発により,三次元運動の射影角の計測が可能になった.アクチュエータ束による関節駆動では,多入力多出力系の制御を一入力一出力系の制御の集合と考える手法を用いて制御を行った.ここでは,複数のアクチュエータを拮抗するアクチュエータの組に分けた.その結果,二次元関節だけでなく三次元関節において運動の射影角を制御することが可能となった.関節機構の運動シミュレーションでは,シミュレーション結果と高速度カメラにより撮像された実験結果を比較した.その結果,アクチュエータの配置がリンクの運動方向に寄与していることを実験およびシミュレーションから確認した.さらに,シミュレーション結果を実機のアクチュエータ配置に反映させる方向性を見出した.
|