研究概要 |
平成19年度は,まず、1960年代の東京都にけ立会書館・東京都立図書館などで実施した。同時に,元専任司書教諭に対ずるヒアリング調査も実施しだ。研究成果に関して,所属機関の研究紀要に発表した。さらに,占領期沖縄における学校図書館行政に関する資料収集活動を沖縄県公文書館、沖縄県立図書館などで実施した。先行研究で使用されていない未発掘資料を入手することができた。占領期沖縄では,本土と12年遅れて,1965年に学校図書館法が制定されている。そのタイムラグに着目し,同法成立過程を解明したうえで,専任司書教諭配置施策を考察する必要があると考えた。資料収集活動を実施すると同時に,占領期沖縄における専任司書教諭配置施策の行政担当看であった島元巖(元琉球政府文教局指導課指導主事)に対するヒアリング調査も実施した。島元に対するヒアリング調査の結果によれば,「占領期沖縄の専任司書教諭配置の施策形成に関して,アメリカの学校図書館職員制度をモデルとしていない」という重要な知見が得られた。以上の研究成果をふまえ,日本図書館情報学会用語辞典委員会編集『図書館情報学用語辞典第3版』の「専任司書教諭制度」の項目を執筆した。また,平成19年度内に刊行できなかったが,山本順一編集『学校経営と学校図書館改訂版』(学文社)の第3章第2節「日本の学校図書館の歴史」も執筆した。 来年度は,研究計画調書に記入した内容に基づき,1970年代の東京都における専任司書教諭制度に関する検討,占領期沖縄における学校図書館法成立過程と専任司書教諭配置施策についての検討を行ったうえで成果を発表する。先述の島元巌に対するヒアリングから得られた知見について,文献研究を通して検証するのが来年度の中心的な研究課題である。
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