平成20年度は、昨年度に引き続き、占領期沖縄における学校図書館行政に関する資料収集活動を沖縄県公文書館・沖縄県立図書館・琉球大学附属図書館などで実施した。1965年の米国占領下の沖縄で成立した学校図書館法に関する資料を中心に収集した。同時に、石川清治(元琉球大学教授)に対するヒアリング調査を実施し、当時の琉球大学における司書教諭養成の実態や学校図書館事情についてうかがった。占領期沖縄の学校図書館事情については、論文「占領期沖縄における学校図書館法成立とその背景」というテーマでまとめ、所属機関の研究紀要に発表した。学校図書館法の立法化過程においては、米国側からの支持・命令を一切受けずに、日本側の主導によってすすめられた点を指摘した。高知県の専任司書教諭配置については、元専任司書教諭であった浜崎寿賀子に対するヒアリング調査を実施し、彼女から関連資料の提供を受けた。東京都の専任司書教諭配置については、当時、生徒という立場で学校図書館を利用した5名に対してヒアリング調査を実施した。以上の調査研究から、沖縄・高知・東京の専任司書教諭の配置施策では、多様性がみられる一方、専任司書教諭と学校司書の二職種配置という共通点があきらかにされた。2年間の調査研究のまとめを論文化し、日本図書館情報学会編集・発行の学会誌に投稿した(現在審査中)。日本図書館協会編集・発行の『図書館雑誌』には、中間報告的な内容の論文を投稿した(2008年5月号に掲載)。
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