研究概要 |
飼料イネを栽培したポットを用いて、流入した窒素負荷量を変えて5ケ月間実験を行った。常に湛水している実験系および水位の調節を行う実験系を設け、水位の調節による酸化還元電位の変化を調べた。また、実験前半の水量負荷は1.25,2.5,5cmday^<-1>に設定し、後半は2倍にした。ガス採取用のチャンバーで飼料イネ全体を覆い、チャンバー内のメタン及び亜酸化窒素濃度の経時変化から放出速度を求めた。これら両者の関係を明らかにした。水位調節及び窒素負荷量が窒素除去及び温室効果ガス放出速度に与える影響を評価した。 その結果、湛水系の酸化還元電位がマイナスになることに対して、非湛水系の酸化還元電位は殆どプラスになる。また、非湛水系の水位が上がると、酸化還元電位が下がって、しかも、酸化還元電位値の変動が大きくなることがわかった。これは水位の上昇及び飼料イネの蒸発散による水位上下変動によるものと考えられる。後半から水量負荷を増えると、湛水系の窒素除去速度は1.27-2.94gm^<-2>day^<-1>であることに対して、非湛水系は1.23-3.88gm^<-2>day^<-1>である。特に水量負荷が高い系では、非湛水系の窒素除去能力は湛水系より高いことがわかった。これは高い地下水位の非湛水系において硝化-脱窒反応が促進されると考えられる。亜酸化窒素の放出フラックスは酸化還元電位との間に有意の相関関係(r^2=0.532,p<0.001)があることがわかった。また、酸化還元電位値は低くなればなるほど、メタンの放出フラックスが高くなる傾向が見られる。メタンの放出フラックスと酸化還元電位値の間にも有意な相関関係(P=0.012)があることがわかった。これは強い還元状態ではメタン菌が活発になり、メタンの放出フラックスが高くなると考えられる。
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