研究概要 |
本年度は、中山間地域におけるデマンドバスの導入可能性について検討を行うための基礎調査として、島根県浜田市弥栄自治区を対象として、公共交通サービスに関するニーズとその現状について調査を行った。 本調査研究の対象地域である弥栄自治区は、65歳以上の高齢者が人口の43%にも上る高齢化の進んだ地域である。生活拠点となる浜田市中心地までは、およそ25km離れており、路線バスを利用すると片道約1時間の距離にある。浜田市中心地までの唯一の公共交通手段は路線バスであり、その路線バスも全区間運行しているのは1日に往復7便しかなく、運賃は片道1,000円ほどかかる。 対象地域におけるアンケート調査の結果から、年齢が高くなるに連れて、1人世帯もしくは夫婦のみの世帯の割合が増え、また、運転免許の非保有者が増大することがわかった。これらのことから、高齢者が買物や通院に不便を強いられていることが推察された。また、高齢化の進展に伴い、バスサービスに関する必要性も高まることが確認できた。高齢者の移動時間帯は、午前中から午後1時にかけての時間がピークとなっており、その外出先は診療所や商店などで、通院や買い物のための外出が主要な外出目的となっている。これらのことは、過疎地域においてデマンドバスを導入している自治体を対象にした事例調査からも同様な傾向が確認できた。 これらのことを踏まえ、次年度は、住民のニーズを最大限に満たし、コストを可能な限り抑えた、デマンドバスの運行計画を行い、シミュレーションにより、その利便性と採算性について評価を行う。
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