研究課題
汚染された土地を売買する際には完全浄化が求められることが多いため、汚染が発見された土地の多くが放置されている。この問題を解決するために、掘削を伴わない原位置浄化法による油成分濃度の低減手法を研究し、汚染現場に原位置浄化法を適用した際のリスク管理手法を検討した。研究アプローチは2つあり、1つ目は汚染地盤を模擬した円筒状のカラムを用いて、ベンゼン等の油成分を低減する実験を行い、原位置浄化法の制御手法および油成分濃度の低減予測手法を検討することである。2つ目は健康リスクアセスメントの概念に基づいて、原位置浄化法を実施した際のリスク管理手法を検討することである。実験による検討では、現位置浄化の効率予測に必要であるが複雑になる傾向にあるカラム実験を見直し、定水位透水試験を応用した簡易な装置(直径約8cm、層厚29cm)を製作して、実験に使用した。油汚染物質として、環境基準が設定されているベンゼンを対象とし、その挙動を移流・分散の数式モデルを用いて解析した。その結果、簡易なカラム実験の結果でも、一次元の移流に三次元の拡散を考慮した解析解とよく一致し、良好なシミュレーションが可能であることが示せた。また、分散係数については、分子拡散係数では表現できず、本研究のような簡易であってもカラム実験が重要であることが示せた。この方法を用いることによって、原位置浄化法の設計の信頼性が増し、リスクアセスメントによる管理を導入しやすくなるといえる。リスク管理手法については、現場の条件を考慮したリスク管理濃度を設定するために、土地用途や井戸の有無など、現場に特有の条件をフロー図から選択することによって、リスク管理濃度を設定する手法を、複合汚染や汚染現場以外の不特定汚染源由来の大気中有機物濃度も考慮して考案し、リスク管理について検討した。
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