研究課題
植物プランクトン群衆の違いによる炭素循環への影響を評価することは非常に重要である。特に高緯度海域で特異的かつ頻繁に大発生が報告されている円石藻類の増殖は、今まで珪藻類の高い基礎生産力による吸収域であった海洋を放出域に変えることになり、大気中の二酸化炭素濃度の上昇にさらなる大きなインパクトを与える可能性がある。本研究では、種が比較的単一であり植物プランクトン群集を類型しやすい極域海洋を例に、主に炭酸カルシウム殻を形成する円石藻類濃度と、珪藻類及びその他の小型植物プランクトン濃度を海色衛星による観測から分類する手法を開発することを目的として研究を行った。今年度は、コンピュータによる衛星データ解析環境整備及び海色衛星データベースの構築と、極域における海洋観測の2点を実施した。衛星データベースの構築では、JAXAおよびNASAより1996年から現在までにおける解析に有用な衛星データを検索し、コンピュータにアーカイブし、初期解析を実施した。海洋観測では、日本南極地域観測隊による第49次南極地域観測において、砕氷艦「しらせ」による南極海域、北海道大学練習船「おしょろ丸」によるベーリング海、北極海航海において、水中分光光度計により水中光学観測を実施した。「しらせ」による航海では、海面反射を無視できるような海面漂流ブイを考案、制作し、1nmごとの海面上向き放射輝度スペクトルを南極海の20観測点で得た。また北極海でも同様に光学観測を実施した。さらに両航海において植物プランクトン色素分析サンプルを採集し、現在高速液体クロマトグラフによる色素分析と、色素分析結果に基づく植物プランクトン群集解析を実施している。
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Deep Sea Research II 54
ページ: 2657-2671
Geophysical Research Letters 34
ページ: L06612
Estuarine, Coastal and Shelf Science (印刷中)