研究概要 |
1.本研究初年度の実績としては、第1に研究全体に関わる「近代的再編成プロセス」についての理論的視座の構築が拳げられる。医療と宗教、および近代化についての内外の文献資料の収集・精読と批判的検討から、医療システムと宗教システムを近代的編成プロセスという観点から架橋しつつ、新たに取り組むべき問題系として対象化する理論的視座を確立した。この視座を指針として、次年度以降のより具体的な研究を進めることが可能になった。 2.次に、フィリピン共和国カピス州ロハス市において、12月から1月および2月から3月の2度(のべ30日間)にわたって、近代医療とカトリックの関係性の変容に関する現地調査を実施した。調査内容は以下の通りである。(1)文献調査として、医療や公衆衛生についての行政資料や報告書、カトリック教会発行の文書等を収集した。(2)近代医療に関して、ロハス市内の保健センターと公立・私立病院、クリニックや薬局への参与観察と聞き取りを実施した。(3)カトリックに関して、ロハス市内カピス大司教館と3つの小教区教会、小聖堂,およびカリスマ刷新運動について参与観察と聞き取り調査を実施した。また加え、医療と宗教の葛藤の原因となる癒しについて、カリスマ刷新運動の活動参与観察と、リーダーやメンバーへの聞き取りを行った。 なお、以上の実績については、雑誌論文3件(うち査読有1件)、学会発表1件として成果が公開されている。
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