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2007 年度 実績報告書

英語の名詞複数形態の発展

研究課題

研究課題/領域番号 19820038
研究機関神奈川大学

研究代表者

堀田 隆一  神奈川大学, 経営学部, 助教 (30440267)

キーワード英語史 / 形態論 / 複数形 / 中英語 / 語彙拡散 / 言語変化 / 格の水平化 / 方言
研究概要

本研究の目的は,英語における名詞複数形態(主に-s語尾)の通時的な発展を,古英語から現代英語にわたる通史として記述することである.この目的を達成するために,本年度は特に複数形態の発展の著しかった初期中英語期に注目し,多くの文献により実証的に発展の軌跡を追った.その結果,方言によってs複数化の開始時期や速度が異なり,イングランドの北部・東部は先進的で,南部・西部は保守的であることが確認された.特に,保守的な南部・西部においてはs複数とn複数の共存期間が長かったこと,そしてその発展の経緯が北部・東部に比べて複雑であったことが明確に示された.全体として初期中英語期にs複数化が顕著に進行したのは確かだが,方言間の差異を考慮すると発展の経緯は必ずしも直線的でなかった、ということが実証的に示されたことは,英語史研究にとって大きな意義を有すると考える.
本年度の研究のもう一つの成果は,s複数化と,それと平行して進んでいた格の水平化との相互関係を明らかにしたことである.格の水平化が初期中英語期に顕著に進行していたことは広く知られており,s複数化と何らかの関係があるのではないかという疑問は必然的に生じるが,明示的に両変化の発展が詳細に比較されたことはなかった.この動機から初期中英語期の各方言テキストより多数の例を拾い実証的に調査した結果,両変化は密接に連動しており,互いが互いを助長することによって雪だるま式に変化が進行した事実が明らかになった.両変化の通時的発展を図式的に表現すると,初期中英語期に急速に盛り上がりを示すS曲線となる.これは語彙拡散理論(Lexical Diffusion)が予想する発展のパターンであり,文法的性の消失など,初期中英語期に見られる他の言語変化も同様のパターンで発展したのではないかと疑わせる発見である.これにより,次の研究につながる可能性が開かれた.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Language Changes Walking Hand in Hand: The Spread of the s-Plural and Case Syncretism in Early Middle English2008

    • 著者名/発表者名
      堀田 隆一
    • 雑誌名

      神奈川大学言語研究 特集号

      ページ: 95-124

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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