書記史研究で問題となる「権威」の問題についての考察の一環として、、敬語教育を取り上げ考察を加えた。 「身につけたい日本語のスキルは何か?」というアンケートをとると、「敬語」という答えを上位に挙げる学生は多い。義務教育以来多くの時間をかけて学習していることに加え、アルバイト先でも一通りの教育を受けているにも関わらず、敬語を使い分けられているという実感がないのである。理由としては、社会状況の変化によって年齢差による敬語使用が若い世代では必要なくなってきていること、アルバイト先ではマニュアルの範囲内での対応が可能であること、学校教育では暗記中心に学習が進められてきていることなどが考えられる。しかし就職を控えた学生にとって、そのレベルでの敬語能力では社会では通用しないのではないかという不安は強い。そこで、日本語学の最新の知見である「ポライトネス」という視点から敬語教育についての変革の可能性を探ってみた。
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