本研究は(1)研究システムの構築、(2)言説解析のための諸資料の蒐集・蓄積・整理、(3)その一部の解析を行った。成果として、第一に、現在の若者論が「尊厳死」言説と自分探しの関係を射程に入れておらず、生と死の教育との関連性についても解析が必要であること、第二に、第二次世界大戦後の欧米の安楽死論は、キリスト教倫理に対抗する自殺権の主張として行われた一方、治療中断についてはカトリックの医療倫理などが導入されるなどの影響が強く、生命倫理学も例外でないことを指摘した。この錯綜と自殺予防を謳う現在の死の教育におけるキリスト教との関連性の考究は今後の課題である。
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