研究概要 |
本研究の課題は、「日本語における聞き手の言語・非言語行動のバリエーション」の実証研究を行うことである。筆者はMiyazaki(2007)で、世代の異なる日本語母語話者女性30名の聞き手としての行動を、フォーマリティ・親疎関係・上下関係という複数の要因を考慮したコンテクストを用いて分析し、「聞き手の行動のバリエーション」の説明を試みた。平成19年度はMiyazaki(2007)のデータの改善を第一の目的とした。 平成19年度前半、Miyazaki(2007)のインフォーマルデータを、フォーマルデータの会話タイプと同じにするため、「指示会話」に統一して、新たにデータを収集した。実験結果は2008年3月に日本語実用言語学国際学会にて発表した。さらに、Miyazaki(2007)に欠けていたコンテクスト(母と娘:親しいが上下関係あり)の会話データを収集し、結果を2008年3月社会言語科学会にて発表した。平成20年度には、これらの研究成果を論文にまとめ投稿する予定である。 平成19年度後半は、非母語話者の「聞き手の行動」習得に関する研究を実施した。2007年12月から2008年3月にかけて、米国と日本で日本語学習者のデータを収集し書いた論文は、2009年にMoutonから出版予定のTaguchi,N編"Pragmatic Competence in Japanese as a second language"に投稿し現在査読中である。
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