平成19年度は次の2点について実施した。まず1つ目は、日本各地で公表されている木質バイオマスエネルギー事業に関連する報告書や諸文献、また農林水産省や林野庁を始め、NEDOや(社)林業機械化協会などで公表されている調査報告書や統計資料、そして事業関係者へのヒアリング調査結果に基づいて、木質バイオマスエネルギー政策・事業例を(1)都道府県、(2)市町村名、(3)事業実施主体、(4)担当課・部署、(5)連絡先、(6)事業開始(事業予定)年度、(7)使用バイオマス、(8)事業内容(事業形態)、という8点から調査し、この結果をデータベース化して整理した。こうした調査から、日本各地で展開されている事業の現状やその特徴を明らかにでき、また後述する環境会計モデル(あるいは政策・事業評価モデル)の構築対象を特定することができた。さらに、ここでは、北東北3県における事業例についても整理しているために、平成20年度に行う情報システムの実践適用可能性を検討するための対象地域を特定化していく基礎資料としても利用できる。次に2つ目は、1つ目の調査結果のうち事業化の事例が地較的多いペレット事業だけではなく、将来的な利用を想定した飯田市のような発電事業を対象に、当該地域内の自治体、私営や公営の事業者、地域住民の3主体が、そうした対象事業のプロセスを経済面(採算性)、環境面(環境影響)、社会面(地域・産業の振興)から定量的に分析・評価できる環境会計モデル(あるいは政策・事業評価モデル)を、LCA(ライフサイクル・アセスメント)や欧米・日本における環境会計モデルを参考にしながら構築した。ここで構築したモデルは、平成20年度に行う情報システム化のための基礎モデルになることから、研究対象地域(事業実施地域あるいは事業実施計画地域)の特性にあわせたシステムモデルを検討することが可能になる。
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