1.今年度の研究実施概況 (1)都市青少年労働者の労働・生活実態に関する史資料の収集・整理(平成19年10月〜12月) 本年度は、まず戦間期の都市化を広く捉えるために、6大都市の市史や関連諸研究の検討した。そのうえで本研究の関心に照らし、(1)中小商工業の経営実態、(2)商店法立法過程における議論とその資料となる社会調査、(3)青少年労働者の雇用・生活実態に関する諸言説、という、3つのカテゴリーについて資料収集・整理を行った。(3)の資料については、量的分析のためのデータ化を実施した。 (2)史資料収集調査(平成19年10・11・12月) 国立国会図書館・国立公文書館(東京)および大阪府立中央図書館・中之島図書館・大阪市立大学附属図書館(大阪)において、商店法に関する諸調査、店員教育に関する書物(とくに徒弟制度に関わるもの)、職業指導に関する公文書等の資料を重点的に収集した。 2.研究の進捗状況 今年度は、1930年代前半から議論されてきた商店法制定をめぐる論議に注目し、中小商店と百貨店をめぐる経営論的な論点と、もう一方で青少年労働者に対する保護の必要性といった論点とが重なっていく過程の究明について分析を進めた。様々な利害が対立する議論に、誰(何)が介入していったのか、そしていかなる帰結をみたのかについて、来年度の学会や論文で発表していく予定である。
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