1.今年度の研究実施概況 (1) 都市の青少年労働者に関する史資料の整理と分析 都市化と若年労働市場・青少年労働者の保護政策の関係を明らかにするために、収集した公文書(労働行政・労働保護に関するもの)、社会事業や職業指導雑誌に掲載された青少年言説といった史資料をテーマごとに分類・整理したうえでデータベース化し、相互の関連づけを行うとともに、その内容分析を行った。青少年労働者に関する社会調査資料のうち、個票型データとして加工できるものについては、Excelデータとしての入力を行い、クロス集計レベルでの基本的な量的分析を進めた。 (2) 史資料収集調査 国立国会図書館・国立公文書館・東京大学社会科学研究所(東京都)、愛知県立図書館・愛知県勤労会館(名古屋市)などにおいて、企業内教育に関する文献資料、徒弟・丁稚の雇用条件に関する資料などを収集した。これらについても、分類・整理を順次進め、データベースを拡張した。 2. 研究の総括 本研究では、これまで研究代表者が東京と大阪を対象に進めてきた、大都市における青少年労働者の雇用実態とその保護に関する認識や政策の展開を、他の大都市(名古屋市や札幌市)にまで視野を広げて検討したところに大きな特徴がある。今後これらの都市を含めた六大都市を比較し、それぞれに共通する課題と個別具体的な課題の双方を明らかにすることで、引き続き戦間期における日本の都市と青少年の存在様態をトータルな像として提示する作業を進めていく。
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