本研究は、フランス革命初期にプロイセン出自の国民公会議員として活動したアナカルシス・クローツ(A. Cloots)の「人類主権」論を素材に、近代国民国家が一貫して主権的・政治的権利から排除してきた「外国人」をも包含する「人類」(諸個人)を主権者としたことについてのフランス革命史における意義・目的を考察したものである。彼が提示した「人類主権」論に基づく「世界共和国」の構想は、革命初期に有力であった18世紀コスモポリタン思想の影響を受けた「普遍主義」的潮流を徹底させた場合に体現されるであろう一つのユートピア構想であり、国民国家を超える議論を展開する場合には、「プープル主権」をも超える必要があることを提示したものである。
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