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2008 年度 実績報告書

伝統的海上捕獲法の正当化根拠

研究課題

研究課題/領域番号 19830014
研究機関東京大学

研究代表者

和仁 健太郎  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (40451851)

キーワード海上捕獲 / 中立 / 戦時禁制品 / 封鎖 / 非中立的役務 / 海上経済戦 / 海戦法規 / 戦時国際法
研究概要

本研究は、伝統的国際法において交戦国がいかなる物に対していかなる根拠によって捕獲権を行使できたのかを歴史的研究によって解明しようとするものである。平成20年度は、前年度に引き続き資料の収集・検討を行った後、年度後半には、研究の成果を論文にまとめる作業にとりかかった。研究の成果を簡単にまとめれば次の通り。伝統的国際法において交戦国が交戦国および中立国の商船・積荷に対して捕獲権を行使できたことの根拠について、従来の研究は、伝統的国際法において戦争の自由が認められていたことの当然の帰結であったとしてそれ以上の説明をしないか、交戦国と中立国の妥協の結果であると説明するかのいずれかであった。ところが、実際に第一次大戦以前の判例・外交文書・学親等を検討してみると、捕獲権は、妥協という事実の問題に尽きる訳でも、戦争の自由の帰結という自明の理でもなく、理論的な正当化が必要とされていた。すなわち、交戦国は敵国の戦争遂行能力(経済力を含む)を削ぎ敵国に講和条件を受け入れさせるため、敵国に属する船舶および貨物をすべて捕獲・没収することができる。しかし、敵国以外、つまり中立国に属する船舶・貨物に対してそのようなことは行えない。中立国に属する船舶・貨物に対しては、(1)貨物が敵の手に渡れば自国の存立が危うくされる場合(自己保存)、(2)中立船のある種の行動が敵対行為であって、同船が中立性を失い敵船と見なされる場合、(3)敵国沿岸が占領されたと見なされ、海軍が占領軍の権限に類似する権限を行使できる場合のいずれかに基づかない限り捕獲権を行使できない。戦時禁制品は(1)と(2)の根拠に、封鎖は(2)と(3)の根拠に基づく制度であると解される。なお、以上のような成果の一部は、平成21年度中に東京大学出版会から公刊される拙著『伝統的中立制度の法的根拠』に盛り込んだ他、研究成果をより詳細に展開する論文を平成21年度中に公表する予定である。

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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