(1)女性労働、家庭内役割分業に関する研究文献を幅広く収集し、女性労働史、労働社会学、家族社会学、ジェンダー論等の多様な分野からの文献の検討を行った。これまでの成果と残された課題を整理する中で、本研究の目的である社会構造的要因と個人要因の関連の分析が危急の課題であることが確認された。 (2)2000年〜2003年JGSSの個票データを基に、本研究にて用いるデータファイル作成を行った。使用変数の記述的分析のほか、欠損情報の分析や欠損によるバイアス分析などの分析を実施した。統合、加工した個人レベルデータを都道府県ごとにファイリングし、分析・整理を行っている。 (3)都道府県レベルデータの収集を行った。都道府県ごとの(a)有配偶女性就労率、男女賃金格差、女性の管理職・技術職率などの経済データ、(b)保育所数・定員、児童在所率など都道府県の育児支援策データ、さらに(c)県民の性別役割分業に関する社会通念など多岐にわたる指数の収集を行っている。具体的には、男女共同参画委員会による男女共同参画指数など、主に官庁・地方公共団体等よりデータの収集を行った。また、都道府県ごとに適当なサンプル数が必要となるため、不足する場合に備え、データの統合の可能性を検討した。さらに、都道府県レベルデータとの時期的適合性の確認を行った。現在、比較可能性を高めるため、データの標準化に留意し、一次データの再編成も必要に応じ行っている。収集したマクロデータは都道府県ごとにファイル化している。 (4)次年度に予定しているマルチレベル分析のため、研究環境の物的な整備を行った。具体的には、マルチレベル分析を行うために専門的な統計ソフトウェア、高性能コンピュータを導入した。 (5)平成21年8月にAmerican Sociologica1 Association Annua1 Meetingにて、本研究のこれまでの成果の一部を発表する予定である。
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