本研究の目的は、医療分野における科学技術政策と医療保険制度を整合的に構築するため、体系的な分析枠組みの確立に向けた経済学的基礎付け作業を行うことにある。特に医療技術の進歩の状況と、それによって生み出される新薬・新技術に現行の日本の医療制度はどのような影響を与えているのかを考察した。また逆に、現行の医療制度によって新薬・新技術の利用が制限されることが、医療技術の進歩、ひいてはそれを牽引する科学技術政策にどのような影響を与えうるのかを検討した。特に二年目は日本の医療制度のみならず、米国の医療制度と科学技術政策についてもサーベイをしながら、米国との比較を念頭に日本の現行制度を改めて再検討しつつ、国民の立場から新技術へのアクセスに関わる現行制度がどのように評価されるのかを実証分析した。
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