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2008 年度 実績報告書

条件づけが訓練された文脈に対する動物の認知と行動に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19830022
研究機関金沢大学

研究代表者

井口 善生  金沢大学, 人間科学系, 助教 (20452097)

キーワードパブロフ型条件づけ / 道具的学習 / 訓練文脈 / 文脈選好 / 学習性幸福 / コントラフリーローディング / ラット
研究概要

動物は,自らの自発的な行動遂行が生物学的有意義事象の必要条件となっていることの学習(道具的学習)と,自らの行動遂行とは独立な生物学的有意義事象を予期することの学習(パブロフ型条件づけ)を弁別できるだろうか。適応の様相を異にするこの2つの学習を訓練した実験文脈に対するラットの反応を検討することによってこの問題に対する回答を試みた。それぞれの被験体に対して,Y迷路の一方の目標箱(文脈)において食物を強化結果として用いた道具的学習を訓練し,もう一方の目標箱で同じ強化結果を用いたパブロフ型条件づけを訓練した。このような訓練の合間に,被験体に2つの文脈を自由に選択して進入することを許可したテストをおこなった。
実験1では,それぞれの被験体に対してフリー・オペラント訓練と,これに対応したパブロフ型文脈条件づけを訓練した。その結果,テストにおいて被験体はパブロフ型条件づけ文脈を選好することが明らかになった。実験2では,弁別オペラントと,これに対応した離散試行型パブロフ型条件づけを訓練した。この結果,被験体は総じてパブロフ型条件づけ文脈に対する選好を示したが,訓練初期には道具的学習文脈に対する有意な選好がみとめられた。
弁別オペラントの訓練初期には,弁別刺激と道具的行動の表象が形態化し,道具的行動の明瞭度を高めたと考えられた。その結果,ラットは自らの行動の遂行とその結果(食物の呈示)の間の制御的な関係をよく検出し,学習性幸福の状態を経験したのだろう。このようにして形成された両文脈間の情動的コントラストが道具的学習文脈に対する選好に内在していたと解釈された。本研究の結果は,動物が道具的学習とパブロフ型条件づけという2つの学習を弁別することを示唆するだけではなく,飼育動物のある種の行動的福祉(コントラフリーローディング)の基礎理論に対する貢献をもおこなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Instrumental outcome devaluation with representation-mediated conditioning.2009

    • 著者名/発表者名
      Ieuchi. Y., Ishii, K.
    • 雑誌名

      Behavioural Processes 81

      ページ: 95-104

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Conditioned taste aversion is enhanced when the unconditioned stimulus is presented in a different contexxt.2008

    • 著者名/発表者名
      Ishii, K., lguchi. Y., Fukumoto, K., Nakavasu, T.
    • 雑誌名

      Learning and Motivation 39

      ページ: 257-264

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 連合論的学習心理学と比較認知科学の断絶と接点.2008

    • 著者名/発表者名
      井口善生
    • 雑誌名

      動物心理学研究 58

      ページ: 61-68

    • 査読あり
  • [学会発表] ラットのパブロフーオペラント-文脈弁別-選好法を用いたパラダイムの開発-2008

    • 著者名/発表者名
      井口善生
    • 学会等名
      日本動物心理学会第68回大会
    • 発表場所
      常磐大学(茨城)
    • 年月日
      20080913-20080915
  • [学会発表] サカナ(Carassivs auratus auratus)の空間的阻止・回顧的再評価2008

    • 著者名/発表者名
      井口善生
    • 学会等名
      北陸心理学会第43回大会
    • 発表場所
      富山大学(富山)
    • 年月日
      2008-10-18
  • [学会発表] キンギョの空間学習事態における手がかり間競合2008

    • 著者名/発表者名
      井口善生
    • 学会等名
      日本心理学会第72回大会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道)
    • 年月日
      2008-09-21

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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