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2007 年度 実績報告書

地域雇用創出政策の貧困削減効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19830032
研究機関神戸大学

研究代表者

浦川 邦夫  神戸大学, 経済学研究科, COE研究員 (90452482)

キーワード地域間格差 / 貧困 / 再分配
研究概要

本研究の主な目的は、貧困が生じる要因とそれらに関する政策的対応についての考察を踏まえながら、地域間の様々な格差を縮小させる政策が、我が国で拡大傾向にある貧困に対してどの程度の効果を発揮しうるかについて、社会保障制度の効果と比較検討しながら分析を行うことにある。特に本研究で考察の中心となるのは、地域の雇用創出支援策が貧困の削減にもたらす効果の評価である。まず、本年度は分析の第一段階として、日本の各地域の貧困がどのような状況にあるか、また貧困と人々の生活行動はどのように関連しているかについて分析を行い、それらを学術論文としてまとめた。
分析からは、地域内の格差・貧困と当該地域の住民の生活満足度に一定の相関があることが示されており、格差の拡大がその地域の住環境にマイナスの影響を与えている可能性が示唆された。
また、貧困削減策の一つとしてベーシック・インカム政策を取り上げ、政策の導入が、格差・貧困の縮小にどのような影響をもたらすかについて最適課税の理論モデルを基礎として簡単なシミュレーションを行った。現状の生活保護基準相当を国民全員に支給するいわゆる完全ベーシック・インカム政策については、所得税率は50%を上回り負担感は相当強まる可能性が高い。しかしながら、賃金の弾力性がどの程度の水準であるかによって結果は変動するものの、部分べーシッグ・インカム(わが国の生活保護水準×75%分に相当)の支給については、先行研究で示されている賃金弾力性を想定すれば、貧困の縮小に一定の寄与がなされる可能性があることを指摘した。
公的扶助や社会保険が、真に移転を必要とする世帯に機能的に分配されているかについては、国レベルの分析を橘木・浦川(2006)で行っているが、今後、都道府県レベルでの計測を本研究では行い、他の政策効果との比較、関連性の検証を行いたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 「格差と階層変動が生活満足度に与える影響」2007

    • 著者名/発表者名
      浦川邦夫・松浦司
    • 雑誌名

      『生活経済学研究』 26巻

      ページ: 13-30

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「日本の貧困と労働に関する実証分析」2007

    • 著者名/発表者名
      橘木俊詔・浦川邦夫
    • 雑誌名

      『日本労働研究雑誌』 563号

      ページ: 2-17

  • [雑誌論文] 「ベーシック・インカム論の政治経済学的考察」2007

    • 著者名/発表者名
      浦川邦夫
    • 雑誌名

      『国民経済雑誌』 196巻6号

      ページ: 98-113

  • [学会発表] "The Effect of Changes in Family Structures on Intergenerational Transfer of Inequality in Japan"2006

    • 著者名/発表者名
      Tachibanaki, T. and Urakawa, K.
    • 学会等名
      [ESRI International Collaboration Projects 2006]
    • 発表場所
      Todo-huken Kaikan
    • 年月日
      2006-03-04

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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