本研究の目的は、賃金格差の発生要因を検討するため、マイクロデータ(学校、家計データ)を用い、労働市場以前の人的資本形成、特に学校教育による人的資本形成メカニズムに焦点を絞り、教育の成果、教育制度が労働市場でのパフオーマンスに与える影響を実証的に明らかにすることである。具体的には、(1)掌校レベルのマイクロデータを用い教育の生産関数を推計することで生徒の教育成果の決定要因を実証的に明らかにすること(2)個人データを用い、直面した学校教育制度が労働市揚でのパフォーマンスに与える影響を実証的に分析することである。 本年度は上記研究目的と実施計画に従い以下の研究を行った。(1)教育の生産関数の推計:学校別マイクロデータを用い入学時点の能力を一定にして教育投入物の効果を測定した結果、授業時間を除と他の投入要素は説明力を持たないことが明らかとなった。本研究は査読付雑誌に掲載が決定した。(2)過去の学習指導要領より義務教育の各科目の授業時間を計測した。その変数が、個人の学歴達成、就業、賃金への効果を分析した。暫定的な結果だが、学歴達成、就業確率と授業時間は関連するが、賃金とは無相関という結果を得た。加えて、他デーダを利用可能になったため、男性についての若年時の経験と結婚確率、賃金の関係を分析した.結果によると、若年時の学業成績は男性の結婚確率を高あ、それは結婚による賃金プレミアムの一部を説明していることが明らかとなった。これは、学会にて報告され、学術論文への投稿準備中である。 本研究の骨子は教育カリキュラム変数を特定化するにある。必要としているデータは紙媒体の上、所在が点在しているため、それら資料を収集費用および複写費、入力のたあの研究補助を必要とした。加えて関運分野の文献と費用を必要とした。
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