フランスにおける移民政策と移民の社会的権利の変容を具体的事例から検討するため、西アフリカ系女性移住者の団体活動において調査を行い、社会編入の実態を分析した。すでに定住した移民住民については、住宅、就職などの社会編入などにおいて、相対的に資本が少ない西アフリカ系女性が困難を抱えており、特に一夫多妻婚世帯の女性は世帯内、受入社会の二つの側面において地位が不安定であることが分かった。さらに2000年頃以降はアフリカ大陸からヨーロッパへの「非合法」的な越境が急増しており、これら新規入国者からも滞在許可証の取得についての相談が急増し、地位の安定化のために新たな戦略が模索されていることが分かった。
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