研究課題
研究目的は、国内外市場の代表的指数(TOPIX、NASDAQ総合指数、地価指数など)から時系列解析の手法を用いてバブル経済の検出を行い、統計学的にバブル経済の一連の事象(生起…ピーク・崩壊…終結)を説明することにある。具体的にはよりよい統計学手法を理論的に検証し、実際のデータに適用する。研究計画のタイトルは大きな問題を扱っており、1、2年で解決する問題ではない、今年度は大きく分けて2つ、(1)推定量(検定統計量)の有限標本のふるまいのシミュレーション、(2)モデルの当てはまりの(相対的な)よさをしらべる検定(かばん検定)を行った。報告は以下の通り: (1)シミュレーション手法を用いて検定統計量の有限標本のふるまいを調べた。計画で想定した重み付き対称推定量は有限標本分布と漸近分布の乖離が大きい。またこれは最小二乗推定量や最尤推定量にも言えることである。このシミュレーション結果よりから漸近理論の再構築と新たな検定統計量を構築する必要性を感じた。また合理的バブルの検証では標本をアップデートしながら検定を行うことが必要となるため、さらに時間変動に有効な検定統計量にする必要があることもわかった。 (2)統計的検証のための道具である検定統計量(鞄検定統計量)の構築を行った。1報はすでに掲載され1論文は現在投稿中で2論文作成中である。経済モデルのほとんどは真のデータの近似にすぎず、そのモデルは誤っていると考えるのが自然である。また想定される説明変数やモデルの関数の候補は多数存在するのでモデルを選択する必要がある。これはいわゆる情報量基準と多重検定に関係する問題となる。そこでかばん検定タイプの尤度比検定統計量を提案し、その検定の有効性を議論した。この研究は国内外で発表を行っており、現在もその拡張に取り組んでいる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Journal of Time Series Analysis 29(2)
ページ: 359-370
Hitotsubashi Journal of Economics 48, No.1
ページ: 25-55
http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/KOO3132/research.html