研究概要 |
研究目的は,国内外市場の代表的指数(TOPIX,NASDAQ総合指数,地価指数など)から時系列解析の手法を用いてバブル経済の検出を行い,統計学的にバブル経済の一連の事象(生起…ピーク・崩壊…終結)を説明することにある.具体的にはよりよい統計学手法を理論的に検証し,実際のデータに適用する. 研究計画のタイトルは大きな問題を扱っており,1,2年で解決する問題ではない.今年度は大きく分けて3つ,(1)TOPIXの合理的バブルの検証.(2)構造変化を加味した合理的バブルモデルのシミュレーション.(3)多重かばん検定の有意水準の確率報告は以下の通り: (1)(2).まず,TOPIXとIT・情報関連企業の多いTOPIX業種別(サービス)について調べたところ,1990年初頭のバブル崩壊の検出はADF検定統計量は検出できなかったがsupADF検定統計量では合理的バブルが検出された.しかし,Phillips et al.(2006)の場合とは異なりいずれの検定統計量でも2000年初頭のITバブルは検出できなかった. また,バブル経済を構造変化ととらえたときの検定統計量のふるまいをシミュレーションで調べた. (3)統計的検証のための道具である検定統計量(鞄検定統計量)の構築を行った.モデルのあてはまりの良さを検証するかばん検定統計量は現状では,自由度をいろいろ変えた多重検定となっているが,検定善意の有意水準を評価した研究はなかった.そのため,有意水準の近似確率をもとめ,そのアルゴリズムを示した.またシミュレーションによりサイズとパワーの観点から最適な多重検定の自由度の集合を調べた.
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