研究概要 |
本年度は昨年度の研究成果を受けて,認識論的Vee地図の活用方法についての再検討から,理科教育において課題となっている観察・実験場面での活用に的を絞り,理科学習における認識論的Vee地図の活用の有用性等を検討した。具体的な実施内容を,次の1.〜3.に示す。 1.授業実践事例から明らかとなった認識論的Vee地図の教授論的な活用に関する研究成果の公表 2.授業実践事例で子どもが作成した認識論的Veeの地図の記述内容の分析とその評価の視点の検証 3.認識論的Vee地図を基に作成した新たな理科学習シートの授業実践場面おける活用の試行とその有用性等についての分析 先行して実施した認識論的Vee地図の活用を念頭に置いた授業実践事例から得られた「認識論的Vee地図による授業分析は,子どもの理解の様態を理由とともに教師に提供する」という研究成果について具体的事例を提示し公表した。また,前年度に試行した認識論的Veeの地図の構成要素をふまえ記述方法等に変更を加え作成した理科学習シートにおける記述内容の分析を行った。その結果,学習のプロセスの記述を子どもに主に求めていくと,学習のふり返り場面での活用で見られたような自身の学習活動への評価の記述は減少し,学習内容に対する質問や疑問について記述の表出する割合が増加するという学びの様態が明らかとなった。さらに,子どもの理科学習場面での論理構築支援の在り方についても知見を得るために,観察・実験場面での活用に的を絞った新たな理科学習シートを作成し,その活用の有用性や意義についても検証を重ねた。 理科学習における認識論的Vee地図の活用は,子ども自身に学習を通して科学概念をいかに構築してきたかを明らかにする。その点において,子どももその活用における有用性を実感することができ,また,自身の考え等を適切に表現する能力の育成にも寄与することが研究を通して明らかとなった。
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