当該研究年度は、主に(1)基準改訂における利害関係者の反応の分析、および(2)リース会計制度のダイナミクスの制度論的分析を行った。前者に関して、具体的な改訂過程を調査した結果、リース業界からの度重なる反発、ASBJのコンバージェンスを達成しようとする信念の強さ、および企業のリース取引に関する会計基準と法人税法の密接な関連等が浮き彫りになった。当該結果を踏まえて、後者に関して国際的規範の観点から制度の動き説明した研究成果を「International Norms and the Global Convergence of Accounting Standards in Japan」として取り纏めた。これは査読を経て、2009年7月にオーストリアのインスブルック大学で開催予定のInterdisciplinary Perspectives on Accounting Conference2009(学際的会計学会2009)において報告することが受理された。 また、本年度におけるこれまでの具体的成果として、会計制度の制度的・社会的側面を探究した研究成果を国際学会(Critical Perspectives on Accounting(批判的会計学会)2008Conference)において2008年7月に報告した。その過程において、査読誌International Journal of Critical Accuntingの編集長から論文投稿のご推薦を頂き、投稿の結果、査読を経て掲載されることが受理された(時期は未定)。それ以外の研究成果として、細則主義会計とされるリース会計の問題に対処するための概念的基礎研究として、「原則主義会計と細則主義会計-アメリカ・イギリス・カナダにおける動向」(古賀智敏編著『財務会計のイノベーション』第14章所収)をまとめた。
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