1.本年は、まずベルギーの混乱と「移民問題」との関連をOECD資料、また関西圏の大学資料などによって検討し、聖学院大学総合研究所紀要に論文「ベルギーの移民事情試論-ワロン・フラマン対立の再燃と「過去の清算」-」を投稿した(42号掲載)。また、「国内人口移動」についてはデータを収集しつつあり、論文構想もまとまっている。この成果は(仮)「ベルギーブリュッセル問題と南北格差」として43号に投稿する予定である。 2.2007年6月選挙以降のベルギーの政治的状況が不安定であり、新政権成立までに予想以上の時間を要したため、現地調査を次年度に延期することとした。そのかわり、博士論文研究では蓄積が希薄であったベルギーの「EU政策」に関する基礎的研究に重点を置いた。文献の購入、また特にカトリック政党の政策について名古屋大学などで資料収集を行った。これについては、20年度に研究発表、研究ノート、論文を各投稿予定である。 3.さらには、こうした研究の過程で派生した他の知見から博士論文を見直すことができ、「ベルギーの国民統合とキリスト教民主主義政党」(ヨーロッパ地域問題研究会)として発表できたのは幸いであった。これも2008年度内の投稿を検討している。 4.今後の研究成果発表の場として名古屋大「政治と社会」研究会に出席、議論し、理解を深めている。また、ベルギー(憲法)研究に力を入れておられる武居一正教授のご紹介により日本ベルギー学会に入会した。今後の研究発表および資料収集の場として活用する。
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