2年目であり最終年度である本年度は、まず、国家の民主化への支援活動について、各国政府や国際機構、NGOなどの国際的行為主体によるさまざまな民主化支援活動に関する資料を引き続き収集し分析した。そのために、2008年9月には、イギリスのサウサンプトン大学やドイツのフランクフルト大学で情報の収集及び意見交換を実施した。また、本年度も支援側の行為主体の一つである日本の民主化支援活動に注目し、特に本年度より活動がはじまった民主化支援のNPO法人の活動をフォローした。また、本年度は、民主化支援の事例の数を増やして検証作業を続けた。その上で、本年度では、それまでの事例の検証を踏まえて、まず民主化支援活動はどのような政治過程を経て実施されるのか、そこではどのような要因が働いたのかをまとめ一般化を試みた。また、どのような民主化支援活動が、どのような状況下にある国家に対して有効となりうるのか、また多様な行為主体がいる中でどのように実施すればよいか、知見をまとめるための作業を進めた。 前年度からの作業と合わせた以上の研究の成果の一部として、まず2008年6月に日本国連学会で「国連の民主化支援体制とその課題-UNDEFの活動を中心に」という題で報告を行い、同月には日本平和学会で「国連にとっての民主化への課題」という題で報告を行った。同年10月には、日本平和学会の学会誌『平和研究』に「国連平和活動における民主化支援の考察-デモクラティック・ピースの構築へ向けて」という論文を掲載した。2009年3月には、大学の紀要に論文「国連の民主化支援体制とその課題-国連民主主義基金(UNDEF)の活動を中心に」を公表した。
|