本研究を通して、アメリカ大統領の執行特権の根拠と限界を明らかにし、他の機関の権限と衝突した場合の比較衡量基準を設定し、最終的に日本における内閣の情報秘匿の根拠と限界を検討した。執行特権の根拠は、権力分立原理であり、執行権条項から執行府の責務遂行に必要な権限として導かれる。その限界も同じく権力分立原理からでてくるのであり、他の機関の権限と衝突した場合には、それぞれの権限を比較衡量してその優劣を決定することとなる.これを日本の制度に当てはめると、内閣の情報秘匿制度は執行府の責務遂行のための手段であることから、そこには執行特権と同様、他の機関との閾係で限界が存在する。こうした研究成果を公刊するため、1年目に制度枠組に関する論稿を出し、2年目には、最終的な成果として、執行特権に関する本を出版した。
|