平成19年度には、原産地効果(Country-of-Origin Effects)に対する企業側の認識と対応について調べるべく、文献調査を中心とした先行研究のかたわら、予備調査としてアジアからの外資系企業3社(耐久消費財を展開する1社と電子関連生産財を扱う2社)に対する聞き取り調査を行った。 文献調査を中心とした先行研究では、原産地効果の強度が、製品の類型(高関与製品か低関与製品か)とブランドの強弱によって影響されることを確認したうえで、実証調査を行うための分析枠組みを構築した。 予備調査として実施した外資系企業3社に対する聞き取り調査では、日本市場でマーケティング活動を展開する上で、ブランド、製品のMade in情報(原産地)、企業の国籍情報(ブランド国籍情報)についてどのように認識し管理しているかを調べた。 その結果、まず、耐久消費財(主に家電)を扱う企業では、ブランド強化を重要課題として挙げ、製品のMade in情報およびブランド国籍情報の働きをブランド構築における部分的な影響要素として捉えることがわかった。この結果から、調査票作成を含む以後のアンケート調査の段階では、原産地効果の発生と管理がブランド構築の試みに結び付き得ることを念頭におく必要があると考えられる。加えて、本聞き取り調査では、複数要素の総和としてのブランド力を重視しながらも、単体としての原産地効果が市場成果に与える影響は比較的に制限的という認識が示された。(むしろ、ブランド国籍情報の方が製品の原産地情報より強く働くとの認識が示された。) 一方、電子関連の生産財を扱う企業では、製品の原産地ならびに企業ブランドの国籍による心理的評価の差異は存在するものの、それが実際の購買行動や製品価格に結び付くケースは少ないとの認識であった。それ故、原産地効果のコントロールを目的とした活動は微弱で、原産地効果とブランド強化とを連携して捉える視覚も乏しかった。 以上のような成果は、次のステップである本調査の遂行と関連し、分析枠組みおよび調査票作成、そして調査実施の充実化を図る上で貢献するものと判断される。
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