本研究は、国際的な政策伝播のうち「強制」現象の因果関係についての理論化を目的とする2年間の計画にもとづいている。平成19年度は、「強制」現象の因果的メカニズムのなかで重要な役割を果たすと思われる国際制度の形成段階についての中間的な理論化を目的に研究を行ってきた。 (1)国際的政策伝播及び国際制度についての先行研究の整理を行った上で、国際制度形成についてのいくつかの仮説を導いた。この仮説を検証するためのデータ収集が実質5ヶ月間ほどの19年度に行った主な作業である。 (2)まず、仮説の質的な検証のため、1990年代のEUの農村開発政策を事例にした国際制度形成についての事例分析を進めた。特に、90年代の農村開発政策におけるLEADER事業の欧州から地方にいたるさまざまなレベルの制度の形成過程についてである。英国における資料収集及び農業団体に対するインタビューを行い、平成20年度以降のその他の国において実施する調査との比較分析のためのデータを入手できた。また、研究期間前からすでに取り組んでいた消費者政策についての資料も収集・分析し、これは雑誌論文として公表した。 (3)また、仮説の量的な検証のため、14の政策分野における計量データの収集及びデータベースの構築を進めた。(2)の事例研究を進めるのと同時進行で行ったため、統計データの収集と整理はまだ完了していないが、20年度にはさらに政策分野を広げつつデータベース化を進め、一定の成果を公表できるはずである。
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