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2008 年度 実績報告書

ドイツにおける批判的教育学に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19830081
研究機関鎌倉女子大学

研究代表者

藤井 佳世  鎌倉女子大学, 児童学部, 講師 (50454153)

キーワード批判的教育学 / 批判 / マッシェライン / ホネット / 批判理論 / ドイツ
研究概要

1.新しい批判的教育学とホネット批判理論:フーコーの批判概念に依拠する新しい批判的教育学は、近代化の過程とともに批判的態度が誕生したと捉える。なぜなら、近代化とともに進展してきた統治は、一方で権力にもとづく巧みな人間形成を促してきたが他方で「そこからのがれること」を考える批判的態度を生んできたからである。そのため、批判とは、独立した自律的なことではなく、他律的で依存的であると捉えられる。他方で、ホネットは、日常を現在とは異なった層で提示する「意味地平を切り開く」ことが批判であると捉える。承認論を展開するホネットは言語化以前における日常のかかわりや道徳的経験、アイデンティティ形成に焦点をあてている。そのため、自己の形成過程におけるく存在の否定〉に批判のポテンシャルを見出している。2.批判と人間の関係:新しい批判的教育学は、現在を分け持つという経験から批判的態度を捉える。また、経験的テキストを分析対象にすることを提案している。ホネット批判理論は、存在を否定された経験や不正だと感じる感受性を中心に置き、それらを物語的な記述やメタファーを用いながら表現し、現在とは異なる意味連関を再提示する。新しい批判的教育学とホネット批判理論は、パーソナルな経験を重視することに共通性がある。
3.再び構想される批判的教育学:パーソナルな経験や現在を分け持っことから生まれる批判的態度は、否定的な出来事や研究者自身が巻き込まれていることを考察の対象にする。人間形成に織り込まれた隠れた力を顕在化する批判的教育学は、損なわれた承認関係を病理としてとりあげることも可能である。つまり、再び構想された批判的教育学は、人間形成に関する受動的な経験や経験的テキストの解読を通して、通常は隠されており見えていないもう一つの世界を提示することになる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 新しい批判的教育学の可能性に関する研究2009

    • 著者名/発表者名
      藤井佳世
    • 雑誌名

      鎌倉女子大学学術研究所報 第9号

      ページ: 109-114

  • [雑誌論文] ハーバーマス理論への批判から<批判の形式>を考える2008

    • 著者名/発表者名
      藤井佳世
    • 雑誌名

      近代教育フォーラム 第17号

      ページ: 159-162

  • [学会発表] 新しい批判的教育学の可能性- J. マッシェラインの試みを中心に-2008

    • 著者名/発表者名
      藤井佳世
    • 学会等名
      教育実践学会
    • 発表場所
      常磐大学
    • 年月日
      2008-07-12

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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