研究概要 |
平成20年度は19年度の各学区への調査訪問を踏まえ、日本で一様に「評価」と訳されることの多い「学校評価」に関する語(Evaluation, Assessment, Measures, Accountability)の定義を確認し、各学区で理解される「外部評価」と「内部評価」の概念を検証した。 事例対象とした(1)ミルウォーキー市学区(2)ケンブリッジ市公立学校区(3)デザートサンズ統一学校区(4)マイアミ・デード郡学区の「学校評価」においては、学区間で「評価項目」に多様性が見られるものの、NCLB法規定の影響により「州テスト」結果が軸となっている。一方で、州テスト結果の評価指標である「習熟レベル」の設定方法については、州の教育行政局が主導となり、各学区の現場教員を多数召集して基準設定を行っている。「習熟レベル」の設定方法には、「ブック・マークメソッド」の様に各教員の査定に委ねる方法と、「ボディ・オブ・ワーク」の様に「生徒集団準拠型」に類する査定法があり、その過程において学校現場教員の自治が認められた。 学校評価で「失敗」と評された学校は「要改善校」の指定を受け、在籍生徒に対して「補習教育」や「学校選択」の機会が提供される。特に民間業者が参入する補習教育については、教育行政局による事前審査と「インボイス制」と呼ばれる、指導時間・教育内容に関する厳しいチェック体制が導入された。他方、学校評価は州の「教員免許法」の改定と州立大学の教育課程編成にも影響を及ぼしている。特に、「教員スタンダード」を制定して、教育実習前に教育内容・専門知識に関する「資格試験(PARXIS I・II)」の合格を学生に義務づけ、実習先の指導教員と連携した「学生の評価」が導入されている。
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