研究概要 |
本研究は、国際連合が設置あるいは設置予定である「社会権」保障のための実施措置及びそれに関する「社会権」の規範的内容及び性質に関する議論を検証することにより、21世紀の日本における「社会権」保障のあり方を提唱することを目的としている。その目的を達成するために、本年度は以下のことに取り組んだ。 (1)国連システム下の関連機関の文書の整理とインタビュー調査の準備 (1)国連人権理事会、社会権規約委員会、健康権に関する特別報告者の動向をインターネット等でサーベイし、関連文書を入手し、日本語に翻訳して整理した。(2)2007年11月9日及び2008年3月20日の計2回、英国・エセックス大学において、国連・健康権に関する特別報告者のPaul Hunt氏と面会し、今後の共同研究とスーパーバイズ、国際シンポジウムの開催及びインタビュー調査の実施について協議し、来年度に向けた基本的な協力関係を構築した。 (2)国外の国際人権法学者の「社会権」及び健康権研究の整理・検討と共同研究 (1)関連文献(主に、A.Eide, Brigit Toebes,Jennifer Rugerらの文献)の検討を行った。(2)ヨーロッパ諸国における関連判例を入手、整理した。 (2)健康権研究において大きな功績のあるBrigit Toebes博士(アバディーン大学法学部)との共同研究(各国における健康権遵守のモニタリング調査。棟居は日本のモニタリングを担当)に着手した。 (3)国内の憲法学・国際人権法学・社会保障法学における「社会権」及び健康権研究の整理 国内の憲法学、国際人権法学、社会保障法学における関連文献を収集し、整理した。 (4)その他の関連研究 がん対策基本法及びがん対策推進基本計画について、健康権保障の観点から分析を行い、研究ノートにまとめた。その成果について、がん患者会の勉強会等で報告も行った。
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