日本で戦前期に創設された精神薄弱児施設の中でも、先駆的な立場にあった石井亮一(1867-1937、滝乃川学園施設長)と川田貞治郎(1879-1959、藤倉学園施設長)は、当時、精神薄弱児施設の運営において先進国であったアメリカ合衆国に渡り、当地の精神薄弱児施設での教育と保護の方法について学んでいた。しかしながら、帰国後の彼らの施設運営方法、精神薄弱児施設の実践を分析すれば、彼らはアメリカの精神薄弱児教育や施設運営方法を全て受容するのではなく、選択的に搾取していたことが本研究によって明らかになった。
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