本研究は、本年度と来年度にわたり、我が国における1943(昭和18)年の師範学校の専門学校程度昇格の具体的なプロセスを解明するための基礎的なデータの収集とその分析を目的としている。本年度は、以下の通りに研究を進めた。 1、国立公文書館が所蔵する、師範学校の専門学校程度昇格にともなう教員人事に関する資料(昭和18年度)のうち、既に入手した兵庫県以外の教員の「高等官進退」、「判任官進退」、「教員採用」を収集し、マイクロフイルム化を進めた。そして、専門学校程度に昇格した師範学校における教授に関して、採用時期・審査機関・従前の職位・昇格後の職位などを網羅したデータベースを作成した。 2、国立公文書館において、「公文雑纂 判任官俸給制限外支給」巻116巻〜巻125巻を発見し、マイクロフイルム化を進めた。この資料群には1943(昭和18)年に師範学校が専門学校程度に昇格した際の助教授以下の教員の履歴書がほぼ網羅されており、前項でマイクロフイルム化した資料を裏付ける大きな手がかりとなった。しかし、想定外の資料の発見と予算の関係で作業は次年度以降も継続される。よって全ての収集は次年度に実施し、分析を加える予定である。 3、上記の資料群が示す事実の裏付けをおこなうため、師範学校を前身にもつ教育系大学・学部の学校史や、師範学校関係者の残した手記を収集した。特に、師範学校の専門学校程度昇格過程関係の記事に注意を払って作業を行った。 4、教育雑誌などの教育ジャーナリズムの記事にも着目し、関連記事の収集を行なった。
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