研究概要 |
直径26cm,長さ30cmのステンレス製真空容器にガラス管を接続した真空容器の設計製作を行い,ガラス管周辺に可動式永久磁石アレイ二組を設置することで,下流側にカスプ磁場の存在しない発散型磁場配位の形成を実現した.真空容器内部にアルゴンガスを導入した後に,高周波ループアンテナに13.56MHz,250Wの高周波電力を,整合回路を介して投入することで最大5×10^<11>cm^<-3>の高密度プラズマの生成に成功した.また,静電イオンエネルギーアナライザーの設計製作を行い,更にパルスラングミュアプローブ法を用いたイオンエネルギー分布関数の計測回路の設計・製作を行った.その結果,イオンエネルギー分布関数の高精度計測が可能であることを示した. 上述の計測系を用いて,生成したプラズマのパラメータ計測を行ったところ,2mTorr以下の低圧力領域において,磁力線が発散する領域において急激な電位降下が起こることを観測した.また,この電位降下の値はアルゴンガス圧を下げるに伴い上昇していくことを実験的に明らかにした.ここで観測される電位構造は,ダブルレイヤー形成及びボルツマン則に従う電位形成という両者の観点から検討した結果,ダブルレイヤー形成によって電位降下が起きていることを明確に示した.更に電位下降の下流側においてイオンエネルギー分布関数の計測を行い,ダブルレイヤー形成に伴う静電イオン加速が起きていることを明らかにした.
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