研究課題
若手研究(スタートアップ)
宇宙最大の天体である銀河団外縁部やその周囲の銀河間空間には、まだ観測的に同定されていないバリオン(陽子・中性子からなる物質)が極めて希薄なプラズマガスの形で大量に存在すると考えられている。本研究では、その様な観測的に未同定のバリオンの物理的諸性質を将来の観測において調べる際に重要となる、プラズマのイオンと電子の温度が異なる二温度状態や非平衡電離状態を数値シミュレーションによって調べ、衝突中の銀河団や銀河団外縁部の衝撃波においてプラズマの電離状態が電離平衡から逸脱することがわかった。またプラズマの二温度状態が起きる場合には電離平衡からのずれがより大きくなることが分かった。特に、A399とA401という実際に観測された衝突銀河団を再現するシミュレーションでは、観測的に発見されていない衝撃波において非平衡電離状態と二温度状態が発生していることを予測し、この結果をもとにSuzaku衛星に観測提案を行った。更に、様々な衝突条件での衝突銀河団の数値シミュレーションを行った結果、衝突条件に強く依存せず非平衡電離状態や二温度構造が普遍的に発生することも発見した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件)
Astronomy & Astrophysics 491
ページ: 363-377
Publications of the Astronomical Society of Japan 60
ページ: L19-L22