研究課題
本研究の目的は、発展途上の数値シミュレーション手法であるブラソフコードの要素技術開発を行うことである。ブラソフコードはプラズマの運動論を自己無頓着に解き進めるシミュレーション手法の1つであり、ブラソフ(無衝突ボルツマン)方程式とマックスウェル方程式により、位相空間分布関数と電磁界の時間発展を解き進めるコードである。本研究ではまず、数値振動を完全に除去しつつ解の正値性と保存則を満たしたまま1次元の線形移流方程式を解くことができる3次精度の数値補間法を開発し、ブラソフ方程式に適用した。性能評価の1例として、1次元静電ブラソフコードを用いて電子ビーム不安定性の計算機実験を行った。背景プラズマに対して0.1%の密度を持つ非常に弱い電子ビームによって励起される電子プラズマ波動の振幅変調過程を精度よく再現した。また、実際の宇宙空間や実験室プラズマにおいて普遍的に存在する空間非一様性が、大振幅電子プラズマ波動の励起に大きな役割を果たしていることを明らかにした。次に、補間法を1次元電磁流体(MHD)方程式に適用し、連続波動および衝撃波・不連続波の伝播において、解の変形がほとんど生じないことを確認し、移流-非移流方程式系の統一解法の基礎となる重要な知見を得た。
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Earth, Planets and Space 60(印刷中)
Nonlinear Processes in Geophysics 14
ページ: 671-679