研究概要 |
1.ハワイ島キラウエア溶岩試料をテスト試料として,低温消磁2回加熱ショー法による絶対古地磁気強度測定における試料加熱時間の最適条件の洗い出しを行った.その結果,高知大学に構築したシステムにおいては,1回目加熱の時間は45分,2回目加熱の時間は60分が妥当であると結論した. 2.Lundarhal地域から採取された溶岩のうち,19年度に測定が完了しなかった約110枚のflow unitからそれぞれ代表的な試料を1個ずつ選定し,常温ヒステリシス測定および高温誘導磁化測定を行った.その結果,Lundarhal地域の溶岩(約150枚)は全体の約半分が低温酸化を受けており,低温消磁2回加熱ショー法の適用に向いていないと判断された.19年度に測定が完了したSudurdalur地域の溶岩(約100枚)はこれほどの高い割合で低温酸化の兆候を示さなかったため,結果は対称的である. 3.19年度に岩石磁気特性の検討を終えていたSudurdalur地域溶岩(約100枚,約3〜5Ma)から,良好な岩石磁気特性を示したflow unitを選別し,各flow unitあたり2個の試料を用いて低温消磁2回加熱ショー法による予察的な絶対古地磁気強度測定を行った.測定に供した150個の試料のうち73個から合格結果が得られ,これらの結果から計算される仮想地磁気双極子モーメントの大きさは1.34〜11.1×10^<22>Am^2,平均は4.73×10^<22>Am^2(N=42)となった.予察的な結果ではあるが,やはり現在の地磁気強度はかなり強いということが示唆される(現在の双極子モーメント:約8×10^<22>Am^2).信頼度の高いデータを得るためには各flow unitあたり3個以上の合格結果が必要なため,研究期間終了後の平成21年度以降も,測定を継続する.
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